三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2014年10月12日放送

知的障がいのある人と健常者による、県内初の合同フットサルチーム結成!
スポーツを楽しむためには、障がいの有無、年齢や性別は関係ありません!

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四日市市にある日帰り温泉施設『ユーユーカイカン』は、源泉掛け流しの天然温泉はもちろんのこと、大衆演劇あり、食事処ありと、家族でまる1日楽しめる場所です。
そして地域のみなさんとの交流を目的とした、スポーツ施設も充実しています。


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施設内のフットサルコートに、この日、朝から集まってきたのは、知的障がいがある人と健常者による合同フットサルチーム『チャレンジドFC』のみなさん。
健常者のスポーツ大会に知的障がある人も出場できる環境をつくろうと、ともに汗を流し、練習に励んでいます。


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この日は3回目となる合同練習。
知的障がいのあるみなさんが所属しているのは、『スペシャルオリンピックス日本・三重』。
スポーツを通じて社会参加を進める世界規模の組織で、サッカーの指導をするのが、『スペシャルオリンピックス日本・三重』事務局長の田中賢治さんです。
そして合同で練習する健常者のチームが、フットサルチーム『ナスパ四日市』のみなさん。


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準備体操を仕切るのは、アスリートの片山武史くん。
チャレンジドFCでは、知的障害のある選手をアスリートと呼んでいます。
続いてフットサルチーム『ナスパ四日市コーチ』の高山さんによるトレーニングを行い、ゲームのように楽しみながら、サッカーに必要な動きを身につけていきます。

視覚を含む身体の障がいがある人を対象としたスポーツ大会が『パラリンピック』なのに対し、『スペシャルオリンピック』は、知的障がいのある人が対象。
さまざまなスポーツトレーニングや競技会を開催し、多くの人との交流をめざそうという組織が『スペシャルオリンピック』なのです。
2004年に正式に地区組織『スペシャルオリンピックス日本・三重』として承認され、今年で10周年を迎えました。


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『チャレンジドFC』が生まれたきっかけ。
それは『ユーユーカイカン』を経営する株式会社リプロの地域活性化推進室室長として、障がい者雇用にも取り組んでいる高山巧平さん(右)と、田中さんとの出会いでした。

高山「障がい者を雇用する担当になって初めて、そういった人たちのこと知ったのです。
正直、どういう風に接したら良いのかわからず、田中さんに出会って、スポーツを通した時に、自分の中の理解度があがったんです。
ボールを蹴るという行為に関しては障がいあるなし関係ないなと。
そこでこの取り組みから障がい者との接点を生み出せたら良いのでは、と思いました」

そこで『NASPA四日市』のゼネラルマネージャーでもある高山さんは、フットサルにその接点を見いだしたのです。

田中「知的障がい者がだまだ社会に認知されていないので、彼らと社会が接する接点を作るためのツールとして、スポーツがとても良いんです。
実際に見ても本当に、分け隔てなくみんなが楽しめる環境となったので、さらに少しずつ広げていきたいですね」


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トレーニングの後は、アスリートのみなさんと『ナスパ四日市』のみなさんで混合チームをつくっての紅白戦。
4チームの総当り戦です。
みんなで汗を流してサッカーを楽しみます。


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そしてゴール前、絶好のチャンス!
ごらんください、この喜びの表情!
スポーツを楽しむのに、障がいのあるなしは関係ありません。
性別も年齢も関係ありません。
ともに汗を流し、その喜びの瞬間をわかちあうのです。


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アスリートのみなさんが参加することに、『NASPA四日市』は戸惑いはなかったのか、メンバーの渡邉京子さんとキャプテンの西口敦史さんにお聞きしました。

渡邉「確かに最初はどう接して良いかわからず戸惑いましたが、そういう壁を取ってしまえば、ボールを追いかけることは同じなので本当に楽しく・・・逆に楽しさを教えてもらっています」

西口「原点というか、フットサルを始めた時の楽しい気持ちというのをみんなに伝えていきたいですね。そして僕たちとっても感じることが多いので、積極的に参加したいと思いました」


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紅白戦を一喜一憂しつつ見守るのは、アスリートの保護者のみなさん。

「本人がサッカー好きなので、2回参加しています。慣れるまでちょっと時間はかかりますが、楽しんでいるようです」

「息子は一般就労しているのですが、職場でうまく話すことが難しくストレスがあるようです。
ここに来るとみんながわかってくれるので、プラスになることが多いと思います」


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そして本日のメインイベント!
アスリートのみなさんと、『ナスパ四日市』のみなさんによる対抗試合です。
荘厳なBGMと握手。
恒例のセレモニーからはじまります。

緑のユニフォームがアスリートチーム。
赤が『ナスパ四日市』チームです。


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最初は余裕も見せていた『ナスパ四日市』チームですが、なんとアスリートチームに先制点を奪われます。

その後も終始、アスリートチームにおされっぱなし。
結局、7対2で、アスリートチームの圧勝に終わりました。


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「楽しかった!」

「僕は4点入れました!」

「これからも続けたいです」

この嬉しそうな表情!
良かったですね!

『チャレンジド』とは、「障がい者をもつ人」を指す新しい英語。
障がいがあることをマイナスとして捉えるのではなく、その障がいを自分自身のためや社会のためにポジティブに生かしていこうというもの。

とはいえまだ、身体障がい者に比べ、知的障がい者のスポーツに触れ合う環境は、ほとんど整っていません。
スポーツを通じて、知的障がいに対する理解を深めてもらいたい。
ともに汗を流し、笑い、喜びを分かち合いたい。
『チャレンジドFC』はこれからもボールを蹴り続けます。